キャットフードの正しい与え方

キャットフードのパッケージの裏面には原材料表や保証成分表の他に、一日当たりの給餌量が書いてあります。
たいていは「一日の給餌量を2~3回に分けて与えましょう」と書いています。このキャットフードの与え方は正しいのでしょうか?

猫はもともと小動物を狩って食べてきた肉食動物です。
野生の猫であれば、一度にたくさんの小動物を狩ることは難しく、一日に何度も、一匹狩っては食べ、一匹狩っては食べてきたと考えると、一度にたくさんの量の食事をするのではなく、一日に何度も少しずつ食事をとる動物だといえます。

野良猫を保護して家庭で飼い始めると、初めはたくさんの量のご飯を食べます。
野良猫時代の経験から、いま食べておかないと、次はいつ食事にありつくかわからないと本能的に感じて、一度に食べられるだけ食べるようです。ところが、しばらくして家庭猫生活に慣れてくると、「むら食いやだらだら食い」が始まります。
これは、飢餓の時間が短くなり、一日に何度も少しずつ食べるという、猫本来の食生活に戻れた証拠ではないでしょうか?
「むら食いやだらだら食い」は人間だったら行儀が悪いとたしなめられるべき行為ですが、猫は人間とは体の造りが違います。猫はある程度、本能で自分の体調を感じながら食事をとります。調子が良い時や気分が良い時にはちょっと多めに食べたり、調子が良くない時や気分が乗らない時には食べなかったりします。それが人間には「むら食いやだらだら食い」と感じられてしまうようです。「むら食いやだらだら食い」が始まると心配になって、次々に違うメーカー違う形状のフードを与えたくなる飼い主さんは多いようですが、私はあまり賛成できません。
獣医師の指導の場合は別ですが、体調が悪くなさそうなら、もう少しだけ様子をみてあげては如何でしょうか?
猫はもともと「むら食いやだらだら食い」をする動物だと認めてあげることも大切だと思います。

それでは猫の食事の回数は、一日に何度与えることが正しいのでしょうか?
パッケージの裏面に書いてある通りに一日に二度与えれば、お腹が空いている時間が長くなります。飢餓の時間が長くなれば、猫は無理にでも、たくさんの量を一度に食べようとします。一度に食べる量が多くなると尿のpH、マグネシウムやリン酸の値の変動が大きくなり、もともと弱い猫の腎臓に負担がかかることになります。
猫は、好きな時に好きなだけ餌を食べられるようにした場合、一日に9~16回、同じくらいの量を少しずつ食べるそうです。一日の給餌量をできるだけ多くの回数に分けて与えることが理想的と言えそうです。とはいえ、一日に10回以上の回数で食事を出したり下げたりすることは、飼い主さんにとって負担が大きいと思います。

成長期の仔猫の場合は、ドライフードを置き餌にして、いつでも好きな時に、好きなだけ食べられるようにして構わないと思います。ただし、食器が不衛生にならないように、最低でも一日に一回は、食器を換えて洗って使用する必要があります。置き餌の継ぎ餌(食器を洗わず、残った餌の上に新しい餌を足すこと)だけは衛生上好ましくありませんから避けましょう。
置き餌が衛生上気になる方は、自動給餌器を利用することも視野に入れ、一日の給餌回数を3~6回の間で飼い主さんのできる範囲で、決めて与えても良いと思います。
そして、だんだんと高齢猫になるにつれて、一度にたくさんのご飯が食べられなくなっていきます。
その時は、また置き餌に戻してあげては如何でしょうか?

注:ウェットフードや半生フードは、足が速い(傷みが早い)ため、置き餌はできません。
注:穀類多用のエコノミーフードでは置き餌にすることで、カロリーオーバーになることが考えられます。
注:獣医師から食事療法を受けている猫は、獣医師の指導に従ってください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です