猫の必要カロリーの計算と与え方

キャットフードのパッケージ裏面には一日の給餌量が書いてありますが、
とてもアバウトな表記で、我が家の愛猫に実際どのくらい与えれば良いのか、わかりにくいですね。

一般的なエコノミーフードのN社の場合  100g=350kcal

子猫
生後年齢 体重 給餌量 回数
2ヵ月 0.7~1.1kg 50~80g 4回
4ヵ月 1.5~2.4kg 80~130g 3回
6ヵ月 2.1~3.5kg 70~120g
8ヵ月 2.5~4.2kg 70~120g
成猫
体重 給餌量 体重 給餌量
2kg 45g 5kg 110g
3kg 65g 6kg 135g
4kg 90g 7kg 155g
 

生物学的に適正なキャットフード・オリジンの場合  100g=406kcal

体重 アダルト ダイエット シニア
2kg 40g 30g
3kg 45g 30g
4kg 60g 40g
体重 アダルト ダイエット シニア
5kg 75g 60g 60g
6kg 80g 60g 60g
8kg 105g 75g 90g

代表的なグレインフリー・ナチュラルフードのH社の場合
☆カップ/日 ☆☆カップ/一回の給餌量 100g=371kcal

体重 活動が少ない猫 活動的な猫 子猫
1.8~2.7kg 1/4~1/3 ☆ 1/3~1/2 ☆ 3/4 ☆☆
3.6~4.5kg 1/2~1 ☆ 3/4~1・1/8 ☆ 1 ☆☆
5.4~6.4kg 1・1/4~1・1/3 ☆ 1・1/3~1・1/2 ☆ 1・1/4 ☆☆

(H社の場合、北米地域で中心に使用されるカップでの計量方法を使用しているため、
特にわかりにくい表示になっています。公式webサイトによると100gあたり371kcalとなっていました。)

では、より正確にうちの仔に合う適正な給餌量を知るためには、どうしたら良いでしょうか?
一般的には一日に必要なエネルギー量(kcal)は、猫の体重(kg)×80と言われています。
体重が3kgならエネルギー量は240kcal、4kgならエネルギー量は320kcalという具合です。

この計算方法はおおまかな目安にはなりますが、それぞれの猫のライフステージ(成長期なのか、避妊去勢済なのか、老齢期なのか)が、加味されていません。より正確な数値を知るために、ライフステージごとに設定された係数を使う計算をしてみましょう。

まず、愛猫の体重とライフステージから一日に必要なエネルギー量を計算します。
そしてその必要なエネルギー量が、与えるキャットフードで何gになるかを調べます。
フードによっては、上の表のように体重と給餌量が書かれていますが、細やかなライフステージ別ではないため、正確さを求めるためには計算するのが一番です。

初めに、『RER(安静時エネルギー必要量)』を求めます。これは「安静時の正常な動物が中程度の気温環境下で摂食している状態におけるエネルギー要求量」で、以下の計算式で求められます。

RER(安静時エネルギー必要量)=70×(体重kg)0.75乗

猫の体重 kg Kcal 猫の体重 kg Kcal
1 70 3.5 179.1
1.5 94.87 4 197.9
2 117.7 4.5 216.2
2.5 139.1 5 234
3 159.5 6 268.3

(体重kg)0.75乗を電卓で求める場合
まず体重kgを3乗して出た数字の√(平方根)を2回とります。
例:体重3kgの場合
3×3×3=27
27に√を2回押します。27√√=2.279   ←これが(体重3kg)0.75乗です
RER(安静時エネルギー必要量)=70×2.279=159.5

または

RER(安静時エネルギー必要量)=30×(体重kg)+70

実際に計算するには後者の方が簡単なので、ここではこちらの公式を使って計算します。

参考RER(安静時エネルギー必要量)一覧表
猫の体重 kg Kcal 猫の体重 kg Kcal
1 100 3.5 175
1.5 115 4 190
2 130 4.5 205
2.5 145 5 220
3 160 6 250

そして、先ほど求めたRER(安静時エネルギー必要量)に、ライフステージに合わせた係数を掛けると『DER(一日あたりのエネルギー必要量)』が算出されます。以下が『DER(一日あたりのエネルギー必要量)』を計算するための猫のエネルギー係数表です。参考:小動物の臨床栄養学(第四版)

一歳以上の未避妊去勢の猫  … 1.4
一歳以上の避妊去勢済の猫  … 1.2
活動的な猫  … 1.6
肥満傾向の猫 … 1.0
減量中の猫  … 0.8
成長期の猫  … 2.5
妊娠期の猫  … 2.0
老齢期の猫  … 1.1~1.6

  1. 一歳未満の成長期の仔猫が現在3kgの場合
  2. RER(安静時エネルギー必要量)=30×3+70=160
    DER(一日あたりのエネルギー必要量)=160×2.5=400
    一日あたりのエネルギー必要量は400kcalとなります。

  3. 一歳未満の子猫で体重が3.6kgの場合
  4. RER(安静時エネルギー必要量)=30×3.6+70=178
    DER(一日あたりのエネルギー必要量)=178×2.5=445
    一日あたりのエネルギー必要量は445kcalとなります。

  5. 一歳を過ぎて未去勢のオス猫で体重が5kgの場合
  6. RER(安静時エネルギー必要量)=30×5+70=220
    DER(一日あたりのエネルギー必要量)=220×1.4=308
    一日あたりのエネルギー必要量は308kcalとなります。

それでは、次にお手持ちのキャットフードでは、一日あたりの給餌量が何gになるかを計算しましょう。

上記の表の一般的なエコノミーフードN社(100g=350kcal)の例で計算すると
一歳未満の成長期の仔猫が現在3kgの場合
一日あたりのエネルギー必要量は400kcal
400÷350×100=114g
一日あたりの給餌量は114gとなります。

生物学的に適正なキャットフード・オリジン(100g=406kcal)の例で計算すると
一歳未満の成長期の仔猫が現在3kgの場合
一日あたりのエネルギー必要量は400kcal
400÷406×100=98.5gとなります。

こうしてライフステージから考える、より正確な数値が出ましたが、これもまたあくまでも目安の数値です。
この計算で出た給餌量を与えてみて、猫が太ってきたり、痩せてきたりするなら、それぞれの猫の様子に合わせて、給餌量を加減していくことも大切です。

キャットフードのパッケージ裏面に書いている、一日あたりの給餌量の目安は、体重から給餌量を計算しています。この体重は、現在この猫は太り過ぎでも痩せ過ぎでもない、理想的な体重であることを前提にしています。かりに理想体重3kgの猫が、太り過ぎていて5kgあるとしたとき、理想体重をはるかに超えた現在の体重5kgを元に、パッケージ裏面の一日あたりの給餌量を与え続ければ、確実に肥満度が増していくでしょう。これは注意が必要な点です。もし、あなたの愛猫が太り過ぎている猫や痩せすぎている猫ならば、是非、上記の猫のライフステージごとの係数を使って、給餌量の目安を計算してみてください。

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