猫汎白血球減少症
猫汎白血球減少症
猫の猫汎白血球減少症(はんはっけっきゅうげんしょうしょう)について病態、症状、原因、治療法別にまとめました。
あくまでも獣医さんに飼い猫の症状を説明するときの参考としてお読みください。
猫汎白血球減少症の病態と症状
猫汎白血球減少症は、パルボウイルスの一種である猫汎白血球減少症ウイルス(FPV)によって引き起こされる感染症です。
このウイルスが引き起こす猫汎白血球減少症(ねこはんはっけっきゅうげんしょうしょう)は、別名「猫ジステンパー」、「猫伝染性腸炎」とも呼ばれ、致死率と伝染性が高く、消毒・清浄化が困難なことで知られています。
病名の頭に「猫」と付いていますが、一部のイヌ、イタチ科の動物(特にミンク)、アライグマ科の動物(アライグマやハナグマ)にも感染することが確認されています。
猫汎白血球減少症の症状には以下のようなものがあり、通常2~12日間の潜伏期間の後、食中毒に似た嘔吐、下痢、食欲不振といった症状と共に突如発症します。2~6ヶ月齢の子猫では重症例が多く、1歳を超えた成猫においては無症状~軽症例が多いとされます。
猫汎白血球減少症の主症状
経口感染
ウイルスを保有している猫との直接的な接触や、糞便や吐物、及びそれらの飛沫、粉塵を口や鼻から摂取することで感染します。
不特定の猫が多数集まる公園やペットショップ、動物病院などに感染力を保持したままウイルスが存在した場合、人間の靴や服、被毛に付着し、人間や他の動物によって運ばれることもあります。そのため屋内飼育で他の猫との接触がないからといって感染する可能性を否定することはできません。
また、パルボウイルスは外界において半年~1年以上も生存するといわれていますので、猫同士の直接的な接触が無くても、道路や木にかけたおしっこなどから間接的に感染する危険性もあります。
垂直感染
妊娠中の母犬が感染した場合、胎盤を経由して胎児にも感染し死産・流産を引き起こします。
また仮に子猫が生き残ったとしても、小脳に重大な障害が残るとされます。
猫汎白血球減少症の治療
猫汎白血球減少症の治療法としては、主に以下のようなものがあります。
猫汎白血球減少症の主な治療法
対症療法
猫汎白血球減少症の治療には、特効薬がなく現れた症状に対する対症療法が治療の基本となります。
猫自身の免疫力を保つ手助けをする効果を期待して、ネコインターフェロン製剤の投与が行われることが多く、また嘔吐や下痢により失われた体内の水分や電解質(ナトリウムや塩素などのイオン成分)を補給する点滴治療や、腸内細菌による二次感染を抑制するための抗生物質投与などが行われます。
ワクチン接種
猫のワクチンについては猫ウイルス性鼻気管炎、猫カリシウイルス感染症、そして当症の3種混合ワクチンがコアワクチンとしての主流です。しかし副反応・副作用をもたらすものもありますので、接種にあたっては獣医師と相談の上、その猫に合ったものを選択することが重要となります。なおパルボウイルスに対する免疫は、一度獲得するとほぼ一生涯にわたって継続しますが、万全を期すため1~3年おきに追加接種が行われます。