猫カリシウイルス感染症

猫の猫カリシウイルス感染症について病態、症状、原因、治療法別にまとめました。
あくまでも獣医さんに飼い猫の症状を説明する時の参考としてお読みください。

猫カリシウイルス感染症の病態と症状

カリシウイルス感染症とは、ネコカリシウイルス(FCV)に感染することによって生じる感染症です。
非常に頻度が高いことから「猫の風邪」、「猫のインフルエンザ」とも呼ばれています。
ウイルスの感染力は強く、実験では乾燥した環境下にウイルスを置いた場合、3~4週間もの間生存していることが確認されています。母猫から受け継いだ免疫力が弱まる生後6~10週くらいの子猫に感染しやい反面、3歳を過ぎると発症しても軽微な症状のみか、感染しても発症しないことが多くなります(不顕性感染)。

 猫カリシウイルス感染症と同様に「猫風邪」と呼ばれる病気には、猫ウイルス性鼻気管炎(ヘルペスウイルス感染症)がありますが、カリシウイルス感染症が口内炎や舌炎が主症状として現れるのに対し、ヘルペスウイルス感染症は主に結膜炎による目ヤニやくしゃみが主症状として現れます。
両者が混合して発症する「ウイルス性呼吸器感染症」は、気温が低くてウイルスが繁殖しやすい冬に多く見られます。
猫カリシウイルス感染症の主な症状は以下です。

猫カリシウイルス感染症の主症状

  • 口内炎・舌炎
  • 高熱
  • くしゃみ
  • 鼻の潰瘍や鼻水
  • よだれ
  • 目の周囲が赤い(漿液性結膜炎)
  • 食欲不振
  • 爪周囲の潰瘍

猫カリシウイルス感染症の原因

猫の生涯のうちで一度でも感染すると、ウイルスが扁桃や口の中に持続的に生息する確率が高いためやっかいです。
ワクチンを接種していても、完全室内飼いにしていても感染の可能性は否定できません。
猫カリシウイルス感染症の原因としては、主に以下のようなものが考えられます。

猫カリシウイルス感染症の主な原因

接触感染
ウイルスに感染したネコと直接触れ合うことで感染します。
また、飼い主が野外でカリシウイルスに感染した猫を触った後に、ウイルスの付着した皮膚や衣服を通じて、
自宅で飼っている猫に感染させてしまうケースもあります。

空気感染
 ウイルスに感染したネコのくしゃみ等を通じて感染します。
一度カリシウイルスに感染した猫は、治療してもウイルスを完全に退治することができず、およそ80~90%の猫は保菌状態(キャリア)になるといわれています。保菌状態の猫の喉頭口部から持続的にウィルスが排泄されますので、くしゃみをしただけで簡単に他の猫にうつってしまい、これが「猫かぜ」と呼ばれるゆえんです。

猫カリシウイルス感染症の治療

猫カリシウイルス感染症の治療法としては、主に以下のようなものがあります。

猫カリシウイルス感染症の主な治療法

対症療法
猫カリシウイルス感染症の治療には特効薬はありませんので、現れた症状に対する対症療法が治療の基本となります。
二次感染を予防するために抗生物質を投与し、あとは猫の自然治癒を待ちますが、通常は2週間以内に回復します。
脱水症状を防ぐため、飲み水がきれないように注意し、栄養補給と温度管理にも気をつけます。
また最近では免疫力を高めるネコインターフェロンを投与することもあります。

ワクチン接種
 猫カリシウイルス感染症にはワクチンがあり、最も一般的な「三種混合ワクチン」でカバーされています。
あらかじめワクチンを打って体内に抗体を作っておけば、比較的軽状でおさまることが多いようです。

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